
『ダイレクトリクルーティング』を耳にしたことはありますか?
人材採用に関わる人事・採用担当者や経営者の方なら、ご存知かもしれませんね。
転職活動をされている方や転職経験者の方は聞いたことがないものの、知らず知らずのうちに『ダイレクトリクルーティング』で転職していたかもしれません。
今回はもはや日本の採用活動の現場では当たり前となった『ダイレクトリクルーティング』について、メリットやデメリット、ダイレクトリクルーティングで活用できるSNSやツールについてご紹介します。
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ダイレクトリクルーティングとは
ダイレクトリクルーティングとは、企業の採用活動において人材紹介会社や求人誌などの第三者を介入させずに、企業と候補者が直接交渉し採用する手法を指します(採用までを含まず、母集団の形成と交渉までを『ダイレクトソーシング』ともいいます。ダイレクトソーシングについては「ダイレクトソーシングとは?人事・採用担当者が知っておくべきメリット・デメリット」をご覧ください)。
昔の日本企業の採用は、求人誌や新聞に求人情報を掲載し、採用候補者が自ら応募してくるのを待つ形でした。
就職活動や転職活動をしている側は、大学の求人票を見たり、ハローワークを利用したりが主で、場合によっては親や知り合いの紹介などで就職する時代です。
自身がそのような時代で就職活動をしていた方はご存知でしょうし、若い方も親世代に聞いてみると、どのような就職活動が行われていたかが想像しやすいかと思います。
しかし1995年にWindows95が発売されることで、採用活動・就職活動の形態が一変します。
一般家庭にパソコンやインターネットが普及し、「Career Space(のちのマイナビ)」や「RECRUIT BOOK on the Net(のちのリクナビ)」などの求人情報サイトが誕生しました。
いつでも、誰でも、どこでも、世の中の様々な企業の求人情報にアクセスできるようになったのです。
さらに1997年、1999年の人材紹介業における規制緩和により、人材紹介業界に参入する企業が増加し、市場規模も急激に成長します。
これにより、従来の環境では出会うことのなかった企業と求職者が繋がりやすくなり、求職者側から見て選択の幅が広がると同時に、企業側としては優秀な人材の獲得競争が激化します。
そして、求人サイトや人材紹介会社の利用で見えてきた、「採用コスト」「企業と候補者のミスマッチ」「接触可能な候補者の少なさ」などの課題を解決するために、企業自らが採用候補者にアプローチして採用する『ダイレクトリクルーティング』に注目が集まりはじめました。
求人の応募を待っていればいいだけであった従来の「守りの採用」から、企業が積極的に優秀な人材を獲得しに動く「攻めの採用」への切替が起こったのです。
現在では、採用に関わる部署や役職の人間ならダイレクトリクルーティングを知っていて当たり前の時代です。
では具体的にダイレクトリンクルーティングのメリットやデメリットについて説明したいと思います。
ダイレクトリクルーティングのメリット
ダイレクトリクルーティングのメリットとしては、主に次の3つが挙げられます。
採用コストの削減
ダイレクトリクルーティングのメリットとして、まず1つ目に上げられるのが採用コストの削減です。
前章で説明した通り、ダイレクトリクルーティングが一般的になる前は求人情報誌や求人サイト、人材紹介会社など第三者を介した採用活動が主流でした。
第三者を利用すれば、その分の費用が上乗せされるため自然と採用コストが増大します。
例えば中途採用向けの主要求人サイトであれば、4週間掲載するのに数十万円が掛かります。
もし掲載しても採用に至らなかったり、そもそも応募が1件もなければ掲載費用は丸損です。
人材紹介会社の場合は基本的に採用に至らなければ費用が掛かりませんが、採用した場合は予定年収の30%程度を人材紹介会社に支払うのが一般的です。
仮に年収500万円の人材を採用した場合、人材紹介会社には150万円を支払わなければなりません。
一方、ダイレクトリンクルーティングなら、この第三者に支払う費用がないため採用コストを削減することができます。
採用候補者を探すためのデータベースやSNS等の利用料が掛かる場合もありますが、それでも求人サイトや人材紹介会社を利用するより低いコストに押さえることが可能です。
企業と採用候補者のマッチ度向上
伝言ゲームでは間に人を挟むほど、最初のメッセージから遠く離れた内容が伝わってしまいますよね。
それは採用活動でも同様で、第三者を通して採用候補者を見つける場合、企業の制度や文化、求める人物像について候補者に伝わりづらくなります。
間に挟む求人メディアや人材紹介会社の担当者に自社の説明をすることはしますが、それだけで担当者に企業文化や求める人物像について真に理解してもらうことは難しいためです。
その企業でどのような人が働いているか、どのような人が特に活躍しているかなどは、実際に働く社内の人間は肌感覚で掴むこともできますが、人事・採用担当者や経営者のみと顔を合わせる求人メディアや人材紹介会社の担当者では掴みようがないのです。
ダイレクトリクルーティングであれば、最初から企業自ら採用候補者に接触し、交渉を通じて自社アピールができるため、候補者の企業理解が深まります。
また人事・採用担当者としても、交渉を続ける中で採用候補者のひととなりを見定める機会を増やすことができます。
企業と採用候補者、両者の理解が深まることで採用のミスマッチを減らすことができます。
アプローチ対象の拡大
求人の応募が来るのを待っている「守りの採用」では、積極的に就労や転職を望んでいる人材からの接触しか得ることができません。
とくに中途採用の世界では、「積極的に転職したい人材=企業が欲するような優秀な人材」であるとは限りません。
むしろそのような優秀な人材は、転職顕在層の中では極一部の存在と言われています。
そのため、優秀な人材は給与や働く環境の良い一部の企業が囲い込んでしまい、その他の企業はなかなか希望する人材を得られないという問題を抱えてしまいます。
一方、ダイレクトリクルーティングでは転職顕在層だけでなく、転職に積極的ではない転職潜在層の中から優秀な人材を見つけ出して接触することもできます。
転職潜在層も、自ら転職先を探しに行く積極性はないものの、今の給与や労働環境よりも条件の良い会社や、一緒に働きたいと思える人と出会うことで、転職に関心を持つ可能性があります。
人材を見つける場所は、SNS、人材データベース、社員の持つコミュニティなど多種多様で、母数が増えた分だけ希望の人材に出会いやすくなります。
今までの採用形態では出会えなかった優秀な人材にも、ダイレクトソーシングであれば接触が可能になるのです。
ダイレクトリクルーティングのデメリット
ダイレクトリクルーティングの3つのメリットをご紹介しました。
それでは逆にデメリットはあるのでしょうか?
採用候補者の母集団形成に労力が掛かる
今までは求人情報を見た候補者が応募してきたり、人材紹介会社が人を紹介してくれたりなどで、採用候補者の母集団は放っておいても勝手に形成されるものでした(よほど条件が悪く応募のない場合は除きます)。
しかしダイレクトリクルーティングの場合は、積極的に候補者を見つけて接触していかなければなりません。
今までは待っているだけだったのが、こちらから動かなければならず、その分の労力が掛かります。
人事・採用担当者や経営者の仕事は採用だけではありません。
そのためダイレクトリクルーティングによる採用活動を始めたことで業務量や負担が増えてしまい、その他の業務が疎かになるリスクもあります。
ダイレクトリクルーティングを始める際は、そこに割ける余力があるかという点を事前に確認しておきましょう。
ダイレクトリクルーティングやスカウトに対する知識や経験が必要
ダイレクトリクルーティングでは、今まで外部に委託していた母集団形成を企業自らが行わなくてはなりません。
つまり候補者を見つけてきたり、自社の求人に興味を持たせたりする知識や経験が必要になってきます。
またメリットとして挙げた転職潜在層へのアプローチも、結局は転職に積極的ではない人の重い腰を上げさせるだけのスカウト技術があってこそです。
そのためダイレクトリクルーティングで採用活動を行う場合は、他社事例を集めて勉強したり、経験のある人事・採用担当者やコンサルタントを採用チームに加えたりする必要があります。
ダイレクトリクルーティングについて、何の経験も知識もない状態から始めることはもちろんできますが、望ましい結果を出すまでには時間と努力が必要です。
ダイレクトリクルーティングで使うことのできるSNS・ツール
ダイレクトリクルーティングでは採用候補者を見つけてくる必要があります。
ではどこで見つけてくるのかというと、ビジネス向けのSNSや人材データベースを利用することができます。
ダイレクトリクルーティングを目的に利用できるSNS、データベースをご紹介します。
LinkedIn(リンクトイン)
LinkedIn(リンクトイン)はビジネス版Facebookとも呼ばれるSNSです。
Facebookのように繋がっている他のユーザーと投稿を共有することができるのですが、繋がる相手がプライベートではなくビジネスでの繋がりの相手である点が特徴です。
そのため投稿内容も仕事に関わることが多く、またBtoB向けの広告が掲載されていたり、企業がページを持って情報発信に利用したりすることができます。
さらにLinkedIn(リンクトイン)は求人情報を掲載したり、スキル等を指定してユーザーを絞込んでスカウトメールを送ったり、LinkedIn(リンクトイン)上で求人に応募したりすることが可能です。
ダイレクトリクルーティングでの採用活動に利用することを前提に設計されたSNSとも言えます。
世界200カ国、5億人のユーザー数を持ち、日本のユーザー数は190万人を超えています。
LinkedIn(リンクトイン)でなら、国内に限らず国外からも優秀な人材を見つけ出してスカウトすることができます。
アメリカでは転職の2割がLinkedIn(リンクトイン)経由と言われており、日本ではそこまで浸透していませんが、今後「転職=LinkedIn(リンクトイン)」と認識される日が来てもおかしくありません。
すでに日本でも大手企業が採用活動に積極的に活用し始めています。
Wantedly(ウォンテッドリー)
さきほどのLinkedIn(リンクトイン)はアメリカ生まれのビジネス特化型SNSですが、日本にもビジネス特化型のSNSがあります。
それがWantedlyです。
月間アクティブユーザーは150万人を超え、特にエンジニアやデザイナーの利用が多く、IT企業での活用に向いています。
トライアル版では求人募集を5本まで無料掲載できます。
LinkedIn(リンクトイン)はビジネスでの交流の1つとして採用活動への活用がありますが、Wantedlyは最初から採用活動を目的に作られているのも特徴的です。
そのため会社ページや求人掲載のフォーマットが、あらかじめ企業文化や求人の魅力を伝えやすい形となっており、人事・採用担当者として日が浅い初心者の方でも安心して求人情報を最適な形式にまとめることができます。
MIIDAS(ミーダス)
MIIDASは、転職サイトDODAで有名なパーソナルキャリア株式会社(旧 株式会社インテリジェンス)が提供しているサービスです。
ただし保有する人材データベースはDODAのものとは異なりますので、すでにDODAを利用している企業でもMIIDASを利用する意義はあると思います。
ユーザーは10万名を超え、新規ユーザーを毎月8,000名獲得し、契約企業数は業界を問わず7,000社にのぼります。
検索の操作が簡単で、無料トライアル版ではオファー送信以外の全ての機能(ユーザー検索・求人掲載・「興味あり」の送信など)を試すことができます。
気になったらまずはトライアル版を利用してみるといいでしょう。
TalentBase(タレントベース)※2018年3月サービス終了
TalentBaseは、多種多様なSNSから人材のデータを収集したデータベースです。
Facebookを中心に580万人以上のソーシャルデータを元に生成されており、現時点では170万人の人材データを検索できます。
さらにTalentBaseでは、自社に合った人材を人工知能が自動で見つけてくれるため、より確度の高い採用候補の母集団を形成することができます。
「合っている」かどうかは、すでに自社で活躍したり、成果を出していたりする社員データを元に判断してくれるため、人材のマッチ率が高くなります。
フリープランでも求人掲載は無制限、候補者の検索も可能です。
月10万円のアクティブプランでは、専任担当者からのサポートを受けられたり、未応募者に対してメッセージを送ったりができます。
※2018年3月15日追記
2018年3月8日をもってTalent Baseはサービスを終了してしまいました。
人工知能(AI)を使った技術が増えつつある中で、人材系で利用できる例としてもおもしろいなあと思っていただけに残念です。
参考)TalentBase 採用担当者向け
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